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2016.03.10

沖縄の牛乳パックから生まれた
白いバッグ、ル・ココン

writer : 長嶺陽子

沖縄の雑貨好きの人達の間で、一昨年ごろから話題になっている「白いバッグ」があります。まっ白で、なめし革のような感触の軽いバッグ。
サイズもいろいろあり、小物やお弁当、着替えなどを入れて持ち運ぶのにも便利です。
「ル・ココン」と名付けられたこのバッグ。実は、沖縄の牛乳パックなど、飲料の紙パックをリサイクルして手づくりしたものです。牛乳パックを開いて、柔らかくなるまで丁寧に手でもみ込み、パックを布のような素材にしてリサイクルしています。
この手作業は、那覇市の障がい者の方々の生活支援・就労支援をしている事業所から生まれたもの。深い想いとシンプルで清々しいデザインが出合って生まれた、ル・ココン。すべて手作業のため、生産量は少ないのですが、ぜひ、手にしてみてほしいバッグです。
白いバッグ

軽くてしなやか、そして中身は……

ル・ココンのバッグは、手にした時に、その軽さとしなやかでありつつしっかりした感触にちょっと驚きを覚えます。これまで見たことのない素材のように感じます。
そして、バッグの中をのぞいてみると、二度目のびっくり。
バッグの中
中にはリサイクルした牛乳パックの乳牛の絵柄がそのまま。沖縄県民にはおなじみのパッケージですが、赤いステッチがアクセントになって、ちょっとアート感もプラスされています。
ちなみに、パッケージは牛乳だけでなく、こんなものや
バッグの中に見えるメイグルトのパッケージ
こんなものも。
ちなみに、よく見ると、パックの内容量表示が1リットルではなく946ミリリットル(=4分の1ガロン)になっています。これは米軍統治時代のなごりで沖縄の飲料パックの特徴。こんなところにも沖縄らしさが隠れています。
バッグの中に見えるアイスティーのパッケージ

試行錯誤から生まれた、美しいリサイクルバッグ

ル・ココンのバッグを企画・デザインしたのは桃原章子さん。那覇市で、心身にハンディキャップのある方々の自立支援をするNPO法人のスタッフを務めていた桃原さんは、単にリサイクルや福祉に役立つためだけではなく、モノとして美しく、実用的なものを作りたい、と考えたそう。
桃原章子さん

桃原章子さん

その時にふと思い出したのが、インターネットの動画サイトでたまたま見かけた、牛乳パックからバッグを手づくりする様子。完成までのようすはアップされていなかったので、イメージをもとに手探りで試行錯誤しながら、ル・ココンの白いバッグのかたちは生まれました。
ル・ココンの白いバッグ

手作業が身体の機能を思い出す手助けに

バッグを作る作業は、カッターやハサミで牛乳パックを開いて1枚の紙にして、柔らかくなるようにもんでいくところからスタート。
「筒状にして握り、無理にひねったりせずに、破らないようていねいにまんべんなくもんでいくのがコツです」とル・ココンで製作や縫製を担当している中村尚子さんが教えてくれました。
中村尚子さん

中村尚子さん

そうして、丹念な手作業を経て、布のように柔らかくなった牛乳パックがこちら。
布のように柔らかくなった牛乳パック
こうしてリサイクルした牛乳などの飲料パックは肌のきめのような独特のなめらかな質感に。これを15枚~20枚、裁断して縫製することで、ル・ココンの白いバッグはできあがります。
作り上げるまで、すべてが手作業。手で紙をもむ作業やハサミを使う作業をすることで、障がいを持つ方が自分の身体の機能を思い出す手助けにもなっているそうです。

繭から生まれる糸が、人と人、未来をつなぐように

シンプルで美しく、耐水性や耐久性があって実用的なル・ココンの白いバッグは、口コミで評判を呼び、応援する人も増え、これまで在庫をかかえたことは一度もないそう。
「一度にたくさん作ることはできませんが、少しずつ量産できるようにしたいと考えています。こうした手作業が、障がい者の社会参加だけでなく、高齢者やさまざまな特性を持つ方が沖縄で社会参加できるきっかけになっていけば……と思っているんです」と桃原さん。
「ル・ココン」というのは、「繭」という意味のフランス語。
この言葉は、牛乳パックからリサイクルで生まれたバッグの清潔な白い色をイメージすると同時に、福祉という、いわば繭の中で社会参加が難しい方々への思いも込められています。
そしてさらに、その繭から生まれる糸が、人と人をつなぎ、未来を紡ぐ『糸口』になるように……。沖縄から少しずつ社会を変えていく試みとして、ル・ココンのバッグにかかわる人、愛用する人はこれからもゆっくりと増えていきそうです。
桃原章子さんと中村尚子さん

スマートポイント

  • 県内の雑貨店では現在、読谷村「りゅう」、那覇市「RENEMIA 」、「miyagiya」、イオンモール沖縄ライカム内「みらいやSANGO」などが販売を扱っています
  • 同じ素材で小物を作るワークショップなども随時開催中。ル・ココンへメールで問い合わせを
  • 購入したバッグは破損した場合、有料で修理も可能。長く使える一品です

ライターのおすすめ

耐水性があるので、普段使いにも便利なバッグ。沖縄ならではの希少な品なので、お土産にも喜ばれそう

長嶺陽子

東京の出版社を経て沖縄へ移住し10年。那覇市久茂地にて夫とともに泡盛居酒屋「カラカラとちぶぐゎ~」を営む。

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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