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グルメグルメ

2017.05.17

地元食材そのものを味わう
田芋の素揚げ、アリガターンム

writer : 松村葉子

ARIGA TA-UMU
旧正月や旧盆に欠かせない食材、田芋(ターンム)。
子孫繁栄を象徴し、沖縄の重箱を彩る食材だ。
完全無農薬で田芋を生産する
宜野湾市大山の「サンキューファーム」が
那覇市おもろまちの街角で、田芋の素揚げ販売を開始。
無農薬だからこそ可能な、シンプル調理が新鮮。
沖縄ならではのユニーク地元食材、田芋そのものの味を
ホクホクザクザク、スナック感覚で楽しめる。
一度試してほしい「ARIGA TA-UMU」。

行事に欠かせない田芋、宜野湾市大山の特産品

ARIGA TA-UMUのアップ
旧正月や旧盆、4月の清明祭(シーミー)など、節日(シチビ)の行事ごとは沖縄の人々の生活に欠かせない。そんなシチビのご馳走料理を彩る食材のひとつが田芋だ。ターンムと呼ばれ、デンプンやミネラルが豊富。ゆがいてペースト状にしたり、ムジ(芋)汁としてお汁の具にするのが沖縄では一般的。シチビの時期には調理された薄紫色のペースト田芋がスーパーに並ぶ。田芋そのものの値段は他の芋類と比較して高価な印象。
宜野湾市
普天間基地が中央に広く位置する沖縄本島中部の街、宜野湾市。那覇空港から北に向けて車で約20分、宜野湾市の西海岸付近をドライブしていると、外人住宅や商業施設の並ぶ風景の中、そこだけ切り取られたように広大な畑が現れる。西海岸からの海風を感じながら、南北約1.5kmに渡る畑を眺めるのは心地良い。宜野湾市大山名産の田芋畑である。
田芋の素揚げ販売
販売ののぼり
大山の畑にて完全無農薬で田芋を生産するサンキューファームの代表宮城優さんが、那覇市おもろまちの街角で田芋の素揚げ販売を始めた。

スナック感覚で楽しむ、揚げたてフライド田芋

珈琲屋「ARAKI」外観
アリガターンムの販売車
おしゃれな住宅が立ち並ぶおもろまちの街並みの中、珈琲屋「ARAKI」の駐車場にアリガターンムの販売車を発見。
先述の田芋料理は馴染みがあるが、皮付き素揚げは初めて。さっそくいただこう。
揚げたてのアリガターンム
分厚い皮の香ばしい食感、中はしっとり熱々。フライドポテトの感覚で、揚げたては格別だ。「切り方はその日の気分で」と宮城さん。じゃがいもと比べて田芋は形状もさまざま。素揚げにすると、ぶ厚い部分のホクホク感と、薄い部分のカリッとした食感が楽しめる。
田芋を食べる子供
田芋を食べたことがない人のためにここで宮城さんの表現をお借りする。ジャガ芋は「ホクホク」、里芋は「シャキシャキザクザク」としたら、田芋は「ホクホクネバネバ」。
田芋の特徴はその粘りで、砂糖を加えたりするとかなり粘るが、素揚げの場合は粘りが和らぐ。
そして田芋の生命線はその香り。ほんのりと甘く独特の芳しさ。

素材の味そのものを引き出す調理法で

粟国の塩
アリガターンムの説明
初めは何もつけずに食べてみて、味付けは塩か砂糖醤油どちらかをお好みで。塩は「粟国の塩」。砂糖醤油は厳選した醸造醤油に黒糖を加えたもの。栽培方法にこだわって収穫された田芋に合う味付けを探したら、自然と調味料も限られてきたという。揚げ油には遺伝子組換えや精油がされていない菜種油を使用。
カップ大とカップ小
サイズはカップ大(500円)とカップ小(300円)。土日の13時から17時のみ販売、1日10食限定。13時と15時の2回に分けて揚げるので、時間を見計らってぜひ揚げたてを試してほしい。
宮城さん
揚げたての田芋
あらかじめカットして冷凍保存したものを、その場で揚げる。冷凍することで田芋の余分な水分が飛び、味わいが増すという。シチビに合わせて苗付けをするので年間を通して収穫はできるが、基本は冬の作物。12月から5月に収穫されるものが旬。
実はこの素揚げという調理法、無農薬で栽培している田芋だからこそ可能。化学肥料を使い強制的に肥大化させた田芋は、スポンジ状でスカスカしており、フライにすると砕けてしまうのだとか。

無農薬農法で、田芋本来の味を伝える

サンキューファームの代表宮城優さん
大山出身の宮城さんは子ども時代、畑に自生する生き物を遊び相手に育った。一度は県外へ出向き、農業とは対極ともいえるアパレル関係の仕事につく。宮城さんいわく「世の中を見せてもらった経験」。その後沖縄へ戻り、お父様の畑を継いだ。
田芋の葉
昔過ごした田芋畑は生き物が激減し、化学肥料などで異常に成長していく作物を目の当たりにすることに。
宮城さんは10年余りの試行錯誤を繰り返した末、今は化学肥料や農薬をいっさい使用しない自然栽培農法を実践する。「作物に与えるのは、愛情だけです」。
田芋畑
大潮の一日前に畑の水を抜き、大潮が明けたら水を引き込む。味方であり脅威でもある自然そのものに寄り添った農法だ。手間暇がかかり収入も激減するというが、宮城さんは使命を感じているのかもしれない。田芋本来の味がわかる調理法で地元食材をアピールしていくことに。
ポーズする宮城さん
最後にポーズいただきました!宮城さん、アリガ…ターンム!

スマートポイント

  • 無農薬栽培の田芋自体、実は県内でも希少。無農薬だからこそ可能となった素揚げという調理法、沖縄地元食材を知るには持ってこいの一品。
  • おもろまちは大型スーパーや公園があり、県外からの移住者も多く住む街。県立博物館・美術館といったみどころも徒歩で巡れる。そんな街並みの一角で楽しめる、素朴なスナック。
  • サンキューファームは一年を通して畑の一部を一般開放している。利用料一人500円で、湧き水や泥の中で好きなだけ遊べる。
    農耕体験を含めた民泊も今後の視野に入れているというから楽しみ。

ライターのおすすめ

ほんのりと紫色の田芋素揚げ。新感覚スナックとの出会いでした。お子さんのおやつに最適。収穫体験や泥遊びなど、畑での取り組みも楽しそう〜。サンキューファームでは、レンコン栽培も始めているそうですよ。

松村葉子

15年住んでいますが、沖縄はいつも深く濃ゆ〜く目の前に…。背伸びせず、面白いと思ったものを、ご紹介していきます。

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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