北海道の先住民族であるアイヌ民族。湯処として知られる登別や、工場夜景の綺麗な室蘭にも近い白老(しらおい)町には、アイヌの人たちの生活や文化を、間近に感じられる博物館がアイヌ民族博物館(白老ポロトコタン)があります。この博物館は、一般的な資料展示で歴史や文化について学べるだけでなく、かつての集落を再現した野外展示で、実際に昔のアイヌの人の生活を体験できるところが特徴です。
アイヌ民族博物館(白老ポロトコタン)
敷地内にはかやぶき屋根の家「チセ」が展示され、そのなかでアイヌの歌や踊りなどを間近で見聞きできますよ。
アイヌの歌や踊り

インカラㇷ゚テ! アイヌ集落へようこそ!

JR室蘭線の白老駅から徒歩で15分ほど。ポロト湖の豊かな自然に囲まれた場所にあるのがアイヌ民族博物館です。
白老ポロトコタン入り口
ゲートをくぐると、まずは16mもの高さがある、大きなコタンコㇿクㇽ(アイヌ語で村長の意味)の像が出迎えてくれます。その大きさに驚きながらも、先へ進むと、目の前にはかやぶき屋根のチセ(アイヌ語で家)が大小5棟も並び、まるでタイムトリップしたような気持ちに。
大きなコタンコㇿクㇽの像
かやぶき屋根のチセ
別称である、白老ポロトコタンは、アイヌ語で「大きな湖の集落」という意味です。その名前のとおり、ここは、湖畔に再現された伝統的なアイヌの集落なのです。アイヌの民族衣装を身にまとったスタッフさんが、「インカラㇷ゚テ!(こんにちわ)」とアイヌ語で挨拶してくれますよ。アイヌの村にお邪魔したつもりで、この博物館の世界にどっぷり浸っちゃいましょう!

アイヌの人たちの家・チセに入ってみよう!

チセ外観
湖畔に立っているチセは、どれにでも気軽にはいることができます。建物のなかに入って、アイヌの人たちの生活を体感することもできますよ。さっそく、入り口に近くにある、サウンチセ(手前の家)か、オトゥタヌチセ(次の家)をのぞいてみましょう。
チセの中
なかに入ってみると、広々とした空間の中央に囲炉裏があり、アイヌの人たちが大切にしていた漆器の入れ物や、アイヌ刺繍が施された民族衣装が飾られています。
吊るされている鮭
天井に目を向けると、何本もの鮭が吊るされています。これは、保存食のサッチェㇷ゚(鮭の燻製)。秋に川を遡上してきた鮭を、屋外で寒風干しにして、さらに囲炉裏の火で燻して、アイヌの人たちが冬場大切に食べてきた伝統食のひとつです。とくに、冬、チセの外にずらりと鮭が釣り下がっている様子は壮観ですよ!

ユネスコにも登録された古式舞踊を楽しもう

この、サウンチセとオトゥタヌチセは、アイヌ古式舞踊の定期演奏公演会場にもなっています。公演は、1日8回、午前9時15分から1時間ごとに開催。所要時間はおよそ25分ですが、その短い時間で、アイヌ民族の生活や文化をわかりやすく、楽しく教えてくれると評判です。
公演
最初の10分は、アイヌの言葉や食、信仰などについての解説です。会場に訪れた人たちを巻き込みながら、現代の人にも理解しやすい説明してくれて、笑いあり、そして「へぇ~」と感心するところありの内容ですよ。
音楽や舞踊の紹介
アイヌの古式舞踊
続いて、公演のクライマックスともいえる、音楽や舞踊の紹介。トンコリやムックリといった楽器を使って演奏したり、アイヌの古式舞踊を目の前で踊ってくれます。このアイヌの古式舞踊は2009年にユネスコの無形文化遺産にも登録されました。自然を愛し、動物を敬う気持ちが込められた踊り。素朴で神々しい雰囲気をもったアイヌ文化を体感できる、必見の公演です。

アイヌの人になった気分で! 体験プログラムもいろいろ

そのほかのチセでは、アイヌの伝統的な手工芸作品を製作している様子も見られますよ。一針一針手縫いして文様を作っていくアイヌ刺繍や、植物の繊維を編んで作るキナ(アイヌ語でゴザ)ができていく過程を見てみましょう。
アイヌの伝統的な手工芸作品
さらに興味のある人には、予約制でさまざまな体験プログラムで実際にアイヌの伝統文化にチャレンジしてみることも。アイヌの伝統楽器の演奏を教えてもらえたり、アイヌ刺繍の体験などのほか、民族衣装を身につけて古式舞踊にトライすることもできますよ。
体験プログラム
また、アイヌの伝統楽器ムックリを作る体験もあります。プログラムは、短いものなら30分程度、長いものだと1時間。アイヌ民族の一員になったつもりで、体験してみませんか?

展示物でアイヌ文化の世界にふれよう

さらに、博物館の資料でアイヌ民族の知識を深めましょう。アイヌ民族博物館の建物のなかでは、伝統的なアイヌの人の暮らしや、儀式のようすなどを学べる約800点もの資料が並びます。
アイヌ民族博物館の建物
衣食住に関わるさまざまな品物が展示されるほか、アイヌの人たちが暮らしていた周辺の自然環境や、儀式の際に身につける装飾品や特別な衣装なども公開されています。展示から伝わってくるのは、自分たちを取り巻く自然や動植物をカムイ(神)として祀り、感謝を忘れないアイヌ民族の優しい心です。
特別な衣装
たくさんのカムイのなかでも、もっとも身近だったのは「火のカムイ」。人の言葉を理解する唯一のカムイとして、儀式では常に火を使いました。
イナウ
イナウ(写真)と呼ばれる儀礼用具は、カムイと人をつなぐ大切なもので、儀式で使用されるだけでなく、チセのなかにも飾られていました。館内にいるスタッフに声をかければ、気軽に展示物の説明などをしてくれますよ。

アイヌの人たちの食事も味わえる

見たり、聞いたりするだけでなく、アイヌグルメで、おいしくアイヌ文化にふれることもできますよ。敷地内にあるカフェは、アイヌの伝統食がメニューになっています。
オハウセット
オハウセット(800円)は、アイヌ伝統食の定食。オハウというのは塩味のスープのことです。カフェで提供してくれるのはチェプオハウという白老産の鮭を使ったもの。野菜のやさしい旨みと鮭の塩味が絶妙で、ほっと心の休まる味です。イナキビご飯や、地元でとれた山菜の小鉢、シトと呼ばれる団子もセット、これを食べれば心はすっかりアイヌ民族! なのです。
スタッフさん
目で耳で舌で、さらには心でもアイヌ文化にふれられるアイヌ民族博物館。文化を学び、ポロト湖の自然に包まれば、安らいだ気分になれますよ。そして、博物館を出るころには、アイヌの人々のような優しい気持ちにきっとなっているはずです!

スマートポイント

白老駅から徒歩圏内ではありますが、駅前にある高橋自転車商会で自転車をレンタルすれば、ポロト湖周辺のサイクリングや市内散策にも便利です。

カフェではアイヌ伝統食のほか、ソフトクリームなどのスイーツも扱っています。ポロト湖畔にはベンチや休憩できる原っぱがあるので、湖の景色をながめつつソフトを食べるのもいいですね。

入り口におみやげ店が並んでいるほか、博物館内のおみやげショップでもアイヌにちなんださまざまな商品が売られています。木彫りのアクセサリーや刺繍のコースターなどは北海道らしいおみやげとして喜ばれます。

ライターアイコン

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アイヌの集落を再現した野外展示に足を踏み入れると、まるで別世界に来たような気持ちに。その展示の素晴らしさが認められ、2020年には道内初の国立博物館として生まれ変わります。

Writer : 金子 美里

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フリーランスライター。地元情報誌の編集として勤めたのち独立。現在は観光情報誌や旅行雑誌などに執筆。

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