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観光観光

2017.07.27

幕末志士も愛した雅な揚屋建築
「角屋もてなしの文化美術館」

writer : 鈴木ナナ

揚屋建築の遺構として国の重要文化財に指定された角屋
揚屋建築とは現在の料理屋・料亭にあたり、いわゆる大型宴会場。「角屋(すみや)」はその揚屋建築の遺構として国の重要文化財に指定され、京都において最大規模の饗宴の場でした。なんと幕末には志士たちがあつまり、会合や宴が催された場所。当時の刀傷なども残されています。
この辺りは「島原」と呼ばれ、京都屈指の花街として知られていました。今でもその風雅な面影が感じられるはず。志士たちが駆け抜けた島原と「角屋」が保存されている「角屋もてなしの文化美術館」。幕末好きにはたまらない、歴史的遺構をぜひじっくり味わってください。

当時の職人の粋を結集した揚屋建築

寺院の庫裏と同規模の台所
大座敷に面した広庭に必ずお茶席を配し、寺院の庫裏と同規模の台所を備えることが「揚屋建築」の特徴。

そして「角屋」は座敷、調度品、庭のすべてが社寺の書院、客殿と同等にしつらえてあり、特に目を引く赤壁は別格の雰囲気を漂わせ、昭和27(1952)年には国の重要文化財に指定されました。
天井一面が扇で埋め尽くされた座敷
2階へ上がると天井一面が扇で埋め尽くされた座敷。今では再現不可能とも言われている土壁に螺鈿細工が施され、照明がなかった当時、蝋燭で照らしていた室内はその煙で天井がすすけて真っ黒になっていたのだそう。その名残も見られる広間なども、一見の価値ありです(要予約・別途料金要)。

松の間の歴史とそこから眺める風景

新選組初代局長・芹沢鴨と新選組が宴を催していた「松の間」
幕末の文久3(1863)年9月18日夜、新選組初代局長・芹沢鴨と新選組は、この「松の間」で酒宴を催していました。その後、帰宅した壬生の屯所「八木邸」で芹沢鴨は寝込みを襲われて殺害されます。松の間での宴会が最後の晩餐でした。
龍が天に昇っていくような姿をしている「臥龍松」
ここから眺める松は「臥龍松」と呼ばれ、龍が天に昇っていくような姿をしていることからその名がつけられたのだとか。芹沢鴨もまさか、この直後自分が天へ上ることになるとは思いも寄らなかったでしょうね。
絵師で名高い歌川国貞や広重の浮世絵
実は絵師で名高い歌川国貞や広重の浮世絵でもこの松は描かれており、「臥龍松の庭」は京都指定名勝にも選ばれています。さらに松の間の豪華な襖絵、庭の白砂など、それぞれに味わい深いものを感じるはず。ゆっくりと味わってみてください。

幕末の空気の中、文化的サロンとしての役割も

刀傷も残る角屋
西郷隆盛、久坂玄端、坂本龍馬と名だたる幕末の勤王志士たちや、近藤勇をはじめとする新撰組の面々が利用していた事でも有名な「角屋」。ある日、新撰組がつけでお酒を飲もうとして断られ、そこで暴れた際についたという刀傷もしっかり残っていますから必見です!
志士たちの面影をしのばせる石碑
また、界隈の通りを歩いていると、志士たちの面影をしのばせる石碑を見かけるはずです。ここを闊歩していた姿が目に浮かぶようですよ。
お茶会や句会などが催されていたお部屋
一方で「角屋」は酒宴や歌舞音曲の遊宴を楽しんでもらうだけでなく、お茶会や句会などが催されるなど、文化サロンとしての役割も果たしていました。男性でも女性でも自由に出入りできる花街だったのです。維新の物々しい雰囲気の中でも、風流な時間を楽しむことは忘れない京都の粋なスタイルが伝わってきますね。

細かなところにも見どころ満載

大きな暖簾
島原がまだ花街としてにぎわっていたころ、揚屋という形態は他にもたくさんありました。でもこちらの「角屋」は、最大級の広さを誇り調度品や飾られている絵画の数々も一流のもの。円山応挙や与謝蕪村の襖絵、池大雅の書、長谷川等雲の襖絵など挙げたら枚挙に暇がありません。
欄間や襖紙、障子の組子や燭台なども芸術的
著名人の作品が素晴らしいのは当然ながら、ちょっとした欄間や襖紙、障子の組子や燭台などにも目を向けて。
貝が埋め込まれた衝立の枠
たとえば衝立の枠には貝が埋め込まれ、琉球の雰囲気が漂うなど、独特で引き込まれます。時間によってガイドさんによるお話も聞けますので、「角屋」をじっくり堪能してみてくださいね。

スマートポイント

  • おもしろおかしく臨場感たっぷりに説明してくれるガイドさんの話は必聴! 聞くのと聞かないのとでは、感動が違います。
  • 2階は別途料金がかかりますが、一見の価値があります! 撮影不可ですが、だからこそ生で見る感動をぜひ。
  • 開館期間以外でも特別公開していたり、「太夫のお点前鑑賞会」というイベントも年に2回開催。詳細は電話にてお問い合わせを。

ライターのおすすめ

障子の格子のデザインが美しく、襖の引き手が蔦(つた)の形や上り龍、欄間の彫もおもしろく、細かなところに細工があって素敵です。見逃さないで。

鈴木ナナ

人間観察、食べ歩き、酒場めぐり、映画、旅が好き。魑魅魍魎の住む京都で、毎日よそもんの観光気分。

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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