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観光観光

2016.12.07

旧商家丸一本間家の、広くて
豪華な建物に入って豪商気分に

writer : 金子 美里

明治時代、北北海道・天塩(てしお)国で随一の豪商と呼ばれたのが、増毛(ましけ)町の本間泰蔵です。一代で財を成した泰蔵が、1902(明治35)年に完成させた建物が、この旧商家丸一本間家。国の重要文化財にも指定されている貴重な歴史的建造物で、増毛を代表する観光名所です。木骨石造で外観は重厚な雰囲気ですが、内部では精緻な職人技が随所に見られます。建物をなかからもじっくり鑑賞して、大豪商の気分に浸ってみましょう!
丸一本間家内部

丸一の屋号が目を引く堂々たる歴史的建造物

増毛町は、札幌から北へ100㎞ほどの日本海側にある歴史ある港町。町のメインストリートになっている「ふるさと歴史通り」は、時代を感じさせる建物が並ぶレトロな雰囲気が魅力です。通りに面して立つ建物のなかでも、ぜひ訪れてほしい名所は、旧商家丸一本間家。
丸一本間家外観
明治から昭和にかけて活躍した豪商・本間泰蔵が建てた歴史的建造物で、平屋部分と2階建て、3階建ての建物が9棟合わさり、延べ床面積は1,300㎡という広さ! その大きさが本間家の豪商ぶりを伝えていますね。木材と石材を取り混ぜた建築方法で建てられていて、外壁はどっしりとした雰囲気の軟石に覆われています。
壁面に刻まれた丸一マーク
壁面に大きく刻まれた、本間家の屋号である丸一のマークが印象的ですね。白く屋号が染め抜かれた紺地のれんをくぐって、早速、建物内の散策をはじめましょう!

広い呉服店舗で、昔のにぎわいを想像してみよう

大きな建物は、店舗、社屋、居宅、蔵の大きく四つに分けられます。受付を通ってすぐ、真っ先に足を踏み入れるのが、呉服店舗として使われていたスペースです。
呉服店舗
玄関と直結した広い空間
間口は8間(約10m)。玄関と直結した広い空間に圧倒されます。呉服店として営業していたのは明治後期から昭和初期ごろ。当時を再現した店内には、棚にたくさんの反物が並んで、人にぎわっていた様子が目に浮かぶよう。
いたるところに記された屋号
ユニホームの「はんてん」や商品を収納する木箱などいたるところに屋号の丸一マークが記されています。
展示資料
呉服のほかにも創業当初から扱っていた日用雑貨の販売や、海運業、ニシン漁の網元など、幅広い事業を展開し、初代の泰蔵は本間家を天塩国一の商家と呼ばれるまでに大きくしました。1階の呉服蔵では、泰蔵が経営していたさまざまな事業を、展示資料で紹介していますよ。事業の拡大に伴って建物も増築し、1902(明治35)年、現在のような姿の建物が完成したのです。

社屋には働きやすさを考えた工夫が!

続いて大きな見どころとなるのが、社屋である奥帳場。ここは、帳簿を付けたり、お金の計算をするなど、いわば会社の中枢ともいうべき場所です。
奥帳場
この部屋の一番の特徴は、天井です。部屋のなかから天井へ目を向けると、三角帽子のように先がすぼまって、一番高い部分にぽっかりと穴が開いています。
穴の開いた天井
その上の屋根には大きな窓があり、西日を受けて夕暮れでも部屋に光が入りやすいような工夫が施されているのです。これで、日が落ちるまでストレスなく、書きものや計算ができたそう。どんなに偉くなっても、働く人の環境に細やかに心を配る、泰蔵のやさしい気持ちが、建物の設計から伝わってくるようですね。

宮大工の腕が光る建築技術に、思わずため息

佐渡出身の泰蔵は、わざわざ故郷の新潟県から宮大工を呼び寄せて、店舗と住まい造りを任せました。客間や、自分たちがくつろぐ茶の間などは、とくに職人たちの腕が感じられる空間になっていますよ。
客間
植物の透かし彫り
例えば客間は、日本伝統の書院造。床の間のすぐ脇にある窓の欄間には、植物の透かし彫りが美しく施されています。
千本遠しの欄間
泰蔵の隠居部屋であった奥の間にも、まるで機械で作ったかのように細やかな千本通しの欄間が。きっちりと正確無比な職人たちの仕事に思わずため息がでちゃいますね。
茶の間の神棚
茶の間の大きな神棚は権現造りと呼ばれる伝統的な神社の建築様式を取り入れていて、荘厳な雰囲気が感じられます。
窓の手すり
3階客間の窓の手すりのように、洋風な細工が施してあるところも。部屋にシャンデリアが付けてあったり、扉にステンドグラスがはめ込まれていたりと、職人の遊び心がところどころに見えますよ。

見どころ満載! 国稀酒造の原点となる場所も必見です

国定重要文化財である旧商家丸一本間家は、町が所有・管理していますが、泰蔵がおこした商家・本間家は、いまでも國稀酒造としてのれんを守り続けています。この建物のなかでは、国稀酒造の原点ともいえる酒蔵も見られます。
石蔵
いまでは北海道屈指の老舗蔵元・国稀酒造がここからはじまったのだと思うと、簡素な石蔵も感慨深く感じられますよ。
仏間
多角的に行っていた事業を、酒造業一本に絞ったのは、二代目の妻だった本間キミ(一番左の人物写真)の決断。若くして亡くなった二代目に変わって、的確に時代を読み女性ながらしっかりと家業を守りました。仏間には、初代の泰蔵に加えてキミの写真も飾られています。

本間家の歴史と職人たちの技が詰まった歴史的建造物・旧商家丸一本間家。じっくり、ゆっくり観覧して増毛の歴史の一ページを感じてくださいね。

スマートポイント

  • 町内にある歴史資料館・増毛元陣屋と合わせて観覧すると、入館料が半額になります。入館時に元陣屋の入館券の半券を提示しましょう。
  • 呉服店舗から階段を上って2階へ行くと、セルフサービスでコーヒーを味わえる無料休憩スペースになっています。展示されているパネルで本間家の歴史も学べますよ。
  • 建物には、紹介しきれないほどの見どころがいっぱい! 館内には、建築や歴史に詳しいスタッフがいるので、声をかけると詳しいことを説明しながら案内をしてくれます。

ライターのおすすめ

高倉健さん主演の映画のロケ地にもなった名所です。古民家が好きな人は特に楽しめると思います。襖絵も素晴らしいですよ! 2階3階には海が見渡せる部屋もあって景色もきれいです。

金子 美里

フリーランスライター。地元情報誌の編集として勤めたのち独立。現在は観光情報誌や旅行雑誌などに執筆。

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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