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観光観光

2017.01.02

立ち枯れたトドワラとナラワラ
静と動の魅力溢れる野付半島

writer : 阪田 裕子

“この世の果て”って、こんなところかもしれない……。そう思わずにはいられない荒涼とした風景を見せてくれる北海道東部にある野付(のつけ)半島。100年ほど前にはあったトドワラ(トドマツの原っぱ)やナラワラ(ミズナラの原っぱ)は地盤沈下により海水に浸食され、現在の立ち枯れた景色を作り出したのです。
荒涼とした土地
そんなセピア色の色あせた風景には、235種もの野鳥が飛来し、エゾシカが草を食み、花々が咲き誇る…静と動のコントラストが際立ち、命が息づくさまに心が揺さぶられます。
エゾジカ
トドワラ、ナラワラも腐朽が進み、波にさらわれ、土に還り、年々その姿を消しつつあります。今日見た景色は今日だけの形。いま見ないでいつ見るの?さあ、荷物を詰めて出発しましょう!

春から秋まで楽しめるお花ワールド!

根室中標津空港から約40Km、知床半島と根室半島の中間にある野付半島。海流によって運ばれてきた砂がかぎ針状に堆積し、全長約26kmにもなる日本最大の砂嘴(さし)です。半島中間部にある「ナラワラ」まではフラワーロードと呼ばれ、両サイドに広がる花々がお出迎え! ワクワク感が一気に高まります。
フラワーロード
複雑な形をした湾内には、干潟・森林・海岸草原や塩性湿地と多様な環境があり、たくさんの鳥・植物・虫などが命を育んでいます。
様々な野鳥
半島先端部、野付半島ネイチャーセンター横の散策路は、トドワラ入口まで片道約30分ののんびり散歩コース。5月から10月にかけ広がる、黄・ピンク・オレンジ・紫のお花畑はまるで少女漫画の世界! ひょっこり顔を出すエゾシカや、枝先で美しく歌う小鳥との出会いも期待大で、大人女子もトキメクこと間違いなしです。
可愛らしい花
小鳥

静かなる世界「トドワラとナラワラ」

野付半島のほぼ中間に現れるナラワラ。ミズナラなどの広葉樹が優占するこの森には、擦文時代の住居跡やアイヌ民族のチャシ跡が残されていますが海水に浸食され、一部に立ち枯れがはじまっています。白骨のように静かに佇むミズナラに目をこらすと、鮮やかに咲く花々と、エゾシカたちの生活がありました。
エゾシカたちの家族
ネイチャーセンター横の散策路終点から奥には、トドワラが静かに待ち受けています。100年ほど前にはあったトドマツの森も海水に浸食されいまの姿に……。現在ある立ち枯れたトドマツはさらにに風化し、いつか土に還り、いまの景色はいまだけの物。しかし塩性湿地となったこの地にはアッケシソウなど、塩生植物が新しい命を繋いでいます。
枯れた木
塩性湿地
満潮時にはまるで海の上を浮いているような気分が味わえる高架木道は船着場まで片道約20分。荒涼としたトドワラの風景は、もはや日本とは思えない異空間です。
空も海も真っ青で幻想的な風景

野付グルメと北海道遺産の打瀬船

野付湾のほとんどの場所の水深は約1mと浅く、アマモという海草が育つ日本有数の場所。ここは魚貝類にとって貴重な産卵場所・隠れ家となっています。多様な水辺の生きものと水鳥、それを支える環境があり、ラムサール条約湿地に登録されているこの地を守るため、動力によりアマモを傷つける心配のない打瀬船で行われるホッカイシマエビ漁は、明治時代から伝わるここだけの貴重なもの。
鏡のように空を映す海
三角の帆に風を受け静かにすべる打瀬船のホッカイシマエビ漁の漁期は、6月下旬~7月下旬、10月中旬~11月中旬。踊り食いでホッカイシマエビが食べられるのはこの時期のみ!
野付ネイチャーセンター1階にある「野花」は野付湾を見ながら食事できる、夏季のみ営業のレストラン。漁期の踊り食いはもちろん、ホッカイシマエビ・ホタテ・ホッキ貝から付け合わせを選べるかき揚げ丼もおススメです。
かき揚げ丼

野付湾のお楽しみと野生動物に出合う旅

野付湾の向こう側、尾岱沼(おだいとう)とトドワラ桟橋を結ぶ観光船(5月上旬~10月末運行)で野付半島を楽しむ方法もおススメ! 湾内の徒歩では見られない角度からトドワラ・ナラワラを見られたり、漁期には打瀬船のホッカイシマエビ漁の様子が見られます。
ゴマフアザラシ
ゴマフアザラシをより確実に見たいなら、8月~9月上旬の引き潮の時間帯の観光船に乗るのがおススメ。浅瀬のためシャチなどの外敵がいない野付湾のアマモの上で、ゴロゴロとのんびりくつろぐゴマフアザラシは胸キュンもの!
オジロワシ
早春~晩秋にタンチョウが飛来するほか、冬季に飛来するとされるオジロワシは、野付半島で繁殖もしていて年中見ることができます。白銀に包まれた冬の野付湾をスノーシューで散策しながら、冬鳥を探す旅も魅力的。冬にロシアから渡ってくるオオワシの大きさには驚くこと間違いなし! こんな非日常的すぎる野付半島の日常は、癒しと驚きの魅力で溢れています。

スマートポイント

  • 散策前に野付半島ネイチャーセンター2階に立ち寄れば、植物や野付のことが学べて散策がより楽しくなります。もっと深く学びたい場合は、ネイチャーセンタースタッフが案内するツアーに申し込みむのもおススメ!
  • 尾岱沼港発着で野付湾を往復する観光船は予約不要ですが、不定期便のため出港時刻は要問合せ。トドワラ桟橋発着で乗船する場合は予約必須。8月~9月上旬の引き潮の時間帯にはゴマフアザラシに遭遇できる確率大!
  • トドワラ周辺の高架木道は海の上で、夏でも風が冷たい場合がありますので羽織るものを持参したほうが安心です。暑い日には蚊やブヨが出ますので、長袖着用がベター。

ライターのおすすめ

午前中はゆっくり散策、ネイチャーセンター1階のレストランでランチ、その後はゆっくり野付温泉浜の湯の日帰り温泉でフワ~っと一息つく。最高の贅沢です。

阪田 裕子

暑過ぎる関西に嫌気がさし、大自然と涼しさを求めて北海道に移住。今まではバックパッカーとして重い荷物を背負って旅をしていましたが、今は手に入れた車(道民必須アイテム)で車中泊をしながら旅をするのが目標です。

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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