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観光観光

2016.08.25

10人のアーティストが暮らす
名物長屋「あじき路地」へ

writer : 山田涼子

名もない辻子や路地が数多くある京都でも、一際有名な路地があります。テレビや雑誌のロケ地としてメディアでも引っ張りだこで、最近では漫画や小説の舞台となったことでも注目を浴びている「あじき路地」。大家である「おかあさん」こと安食弘子さんが私費を投じて、ものづくりに励む若手作家たちを応援する町家長屋で、現在南北合わせて10人の店子たちが暮らしています。自宅兼アトリエは、週末になると焼き菓子店やオーダーメイドの帽子店やドライフラワー専門店といったショップとしてオープンする愉快な路地なのです。

おかあさんこそが路地の顔!

路地

©松村シナ

花街・宮川町のすぐ近く。建仁寺から徒歩数分ほどのところに、その路地はあります。目印は路地南隣の銭湯の煙突。一歩足を踏み入れると、そこでは昔懐かしい、穏やかな空気を感じることができます。言うなれば、「お醤油を貸し借りする間柄」に代表されるつかず離れずの適度な距離感の上に成り立つ、共同生活があるのです。
空き家だらけで朽ちかけていた町家数軒を、夢や目標に向かって頑張る若者たちに貸そうと決めたのが13年前。広く住人を募り、第一期生が路地へと移住してきました。20代の頃、自身も七宝と彫金に夢中になっていた経験を持つおかあさんは、彼らを我が子のように見守り、ときには辛口なアドバイスを投げかけながら、応援し続けています。「早く一人前になって、ここから巣立って大きくなってほしい」――それが、おかあさんの口癖でもあります。
おかあさん

©松村シナ

つくり手と買い手が直接ふれあえる商いを

Kuuu

©松村シナ

現在、あじき路地に軒を連ねているのは、焼き菓子店、アクセサリー店、照明の店、帽子店、三味線職人の工房、革製品店、絵師ユニットや切り絵作家のアトリエ、ドライフラワー専門店。
evo-see

©松村シナ

さらには、週末だけ営業しているシルバーアクセサリーの店やつづれ織り製品の店、革小物の店などもあります。日曜日だけ店を開けていた「日曜日のパン屋」は、人気に後押しされて平日も朝10時からオープンするようになりました。
路地の風景

©松村シナ

多彩なジャンルが揃う路地の住人たちは、それぞれに刺激を与え合う良い関係性の中でものづくりに挑戦しています。互いに率直な意見や感想を言い合える環境は、とても貴重なもの。ときには一緒に呑みに行ったり、コラボイベントを企画したり。そして、路地を訪れる人々との交流からもヒントをたくさんもらって、次へと活かしているのです。

ほどよい距離感がちょうどいい暮らし

残念ながら、現在空き家はないものの、住人は随時入れ替わっているため、タイミングがよければ住人募集に名乗りを上げることができます。
オリオンの小箱

©松村シナ

新参者のアクセサリー作家さんは、以前からあじき路地のファンで、ずっと憧れていたところ、夫の転勤で京都に来ることに。まっさきに調べてみたら、たままた空き家が出ていたというご縁で入居しました。
ブローインハウス

©松村シナ

かと思えば、入居当時は学生で、その後は映写技師として働き、退社後はあじき路地でドライフラワーの店を開いたというケースも。[img4]入居者は書類審査の後、「お見合い」と呼ばれる面談を経て決定します。その際、いまいる住人たちが集まって意見を言い合い、ともに暮らしていく人を選ぶという工程を大切にされているのは、あじき路地が共同体だから。店子たちはみな、京都の母としておかあさんを慕い、互いに協力しながら暮らしているのです。

歴史を受け継ぎ、ものづくり精神を未来へつなぐ

撮影の風景

©松村シナ

先にも述べたように、あじき路地はロケ地としても有名です。人気雑誌の表紙を飾ったり、著名人が路地を訪れ買い物をしたり。それは、こういった暮らしが営まれている場所が珍しいというだけでなく、廃れていく空き家問題に一石を投じている存在でもあるから。
2016年9月、その功績が認められ、路地の古家を活用したものづくり支援と歴史的建造物・景観の維持が評価されて、京都ブランド推進連絡協議会が取り組む事業のひとつ「京都創造者大賞」において、伏見酒造組合やアートコンプレックスグループなどと並んで「未来への飛翔部門」を受賞しました。全国に見られる空き家問題に頭を悩ませる人たちにとって、少しでも光が感じられる朗報に違いありません。古いものを大切にし、時代に沿った新たなカタチを提案する。それもまた、あじき路地の魅力のひとつにほかなりません。

スマートポイント

  • 基本的には週末オープンですが、北側一番奥のドライフラワー専門店「Blow in house」と南側手前の「日曜日のパン屋」は平日でも営業しています。人気のパンは午前中に売り切れるのでお早めに!
  • 10周年を記念した書籍「あじき路地で暮らす。」が発売中。「日曜日のパン屋」で買えます。また、WEBからも購入可能。
    HP:http://www.field-laboratory.com/ajikiroji/
  • あじき路地入口北側には「ギャラリーあじき」も併設。ゆかりある作家さんたちの展覧会や体験教室などが、不定期で開催されています。

ライターのおすすめ

帽子も照明器具も革の鞄もブーケも、オーダーメイドが基本です。じっくりと話をしながら、自分だけの、お気に入りの逸品をつくってもらってみてはいかがでしょう。きっと愛着が湧くはずです!

山田涼子

本に埋もれて暮らす本の虫。好物は、美酒&美食ならジャンル問わず。睡眠より、映画・ドラマ・アニメの消化を優先。

INFORMATION最新情報は、各施設の公式ウェブサイト等でご確認ください。

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