暦の上に春がやって来る立春の前日である節分。豆まきを始め、さまざまなイベントが全国のお寺で行われますが、京都でも多くのイベントが行われ、鬼が出没したりと多種多様。その中でも、懸想文売り(けそうぶみうり)というキャラクターが出没する須賀神社のイベントはかなりの変わり種。木の枝を肩に担いだ覆面の男と節分の関係性。気になります。

須賀神社近隣と節分

懸想文売りが出没するのは、平安神宮の真北に鎮座する須賀神社。
須賀神社
京野菜の聖護院大根で有名な聖護院の向いの神社で、素戔鳴命(すさのおのみこと)とその妻である、櫛稲田比賣神(くしなだひめのみこと)を祀り、夫婦の神様にちなんで縁結びのご利益があるとされています。
境内
境内には縁結びの夫婦神以外にも、道案内の神である八衢比古命(やちまたひこのみこと)、八衢比売神(やちまたひめのみこと)の二柱を祀る交通神社もあり、日々の交通安全や旅行中の安全守護のご利益があるとされ、信仰を集めています。

須賀神社の周囲は社寺が集中していますが、基本的にひっそりとして落ち着いた雰囲気。しかし、2月の2日と3日は雰囲気が一変。町をあげての節分の特別仕様になり、餅、ぜんざい、お茶、甘酒などの振る舞いが行われます。
餅とお茶
町の角々に懸想文売りのイラスト入りの須賀神社への道案内の看板が立ち、周辺地域の有名人になっています。
須賀神社への道案内の看板

謎の覆面姿の正体

覆面姿の懸想文売り、正体が気になります。
覆面姿の懸想文売り
懸想文売り
懸想文売りが売っている懸想文とは、現代でいえばラブレター。
懸想文
ラブレターを売っているというのも奇妙な話ですが、懸想文売りが登場した江戸時代は現在のように、広く一般庶民まで誰でも字が書ける時代ではなく、ごく限られた一部の人しか字が書けませんでした。

そこで、代筆された懸想文を買ったり、懸想文の代筆が行われました。その代筆を行っていたのは何と貴族!字の書けない庶民に成り代わってラブレターを書いていました。
売られている懸想文
広げた懸想文
貴族が庶民のためにラブレターを代筆していたといっても、慈善事業で…というワケではなく、なんとアルバイトだったそうです。江戸時代の貴族は、徳川家康が定めた家諸法度により、参政権をはく奪され、活動を制限されました。収入となる石高も減らされ、生活がかなり困窮したため、思いついた収入源でした。

美人になれる懸想文

困窮したとはいっても貴族の身分。副業など、とんでもないという理由で素性を隠すために覆面になったそうです。
素性を隠すための覆面
江戸時代に盛んに行われていた懸想文売りですが、明治時代に入ると一度は廃止。昭和になって縁結びの神社である須賀神社の節分祭りの2日間だけ、限定復活となり現在まで続く風習となっています。

その誕生背景を知ると、不気味というより、少し哀愁と親しみを感じる覆面姿の懸想文売り。でもやっぱり貴族なだけあって、どことなく優雅。季節にピッタリの梅の木に懸想文をサンプルとして、くくり付けて売っています。
梅の木にくくり付けられた懸想文サンプル
懸想文売りと懸想文を買う女性
ちなみに懸想文は、現在ではラブレターというより良縁のお守りのような位置づけになっていて、良縁に恵まれる、美人になれると言われています。また、タンスにしまっておくと、着物が増えるというちょっと変わった効果もあり、女性にとってありがたい存在になっています。

豆茶と須賀多餅は年に1度のお楽しみ

懸想文売りが須賀神社に出没するのは、2月2日と3日の節分の2日だけ。冬の京都はとっても寒く、恋しくなるのが温かいもの。

懸想文が現れる節分の時だけ、須賀神社には年に1度のお楽しみとして、境内に茶席が設けられ、須賀多餅と豆茶が授与されます。
須賀多餅
須賀多餅は、1つ150円で種類。ほんのりとやさしい梅が香る梅味と、さっぱりと爽やかな柚子の香りが特徴的な柚子味。
須賀多餅
箱詰めでも販売されていて、季節限定の特別な京都のお土産にピッタリです。

また豆茶は、緑茶に炒り大豆が3粒浮かべられていて、ほんのりと塩味が効いています。

お茶を飲みながら、豆をポリポリと食べると、炒り豆の香ばしさが口に広がる、ちょっと変わったお茶です。

福豆投げ

懸想文売りが現れる、須賀神社の節分祭では、縁結びの神様にちなんだ福豆まきと、交通神社の行事として魔除劔(まよけのつるぎ)の行事が行われます。
魔除劔の行事
魔除劔の行事では、日本正武館(にほんせいぶかん)という京都に本部を置く、空手道場の達人による空手の型の披露、剣を使った居合や、木刀で竹を斬る演武が行われ、交通の安全と魔除けが祈願されます。

また福豆まきでは、福々しく煌びやかな衣装に身を包んだ、翁(おきな)と媼(おうな)が袋に入った豆を投げ、狭い境内は参拝者でびっしり。
福豆まき
ちなみに豆の袋に数字が書かれた紙が入っていると、景品と交換してもらえます。

スマートポイント

節分と言えば、鬼に豆をぶつけるのが定番ですが、まったく毛色の違う優雅な雰囲気の漂う懸想文売りも京都らしい風習です。

須賀神社に用意される茶席には小振りな火鉢が置かれ、炭の温かさに身も心もほぐれる思いがします。寒い冬の節分の時期の京都にとって、何よりもありがたいおもてなしです。

神宮丸太町を降りて、須賀神社へと向かう途中にある熊野神社、聖護院も節分の特別仕様。餅、ぜんざい、お茶、甘酒などの振る舞いもあり、町丸ごと全体で節分モードになっています。

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覆面姿の貴族という普通により目立って、正体バレバレなのでは?と心配になる懸想文売りが庶民にせっととラブレターを売る光景はインパクト絶大。節分で有名な吉田神社も近く、立ち寄ってみてはいかがでしょう?

Writer : けいたろう

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大阪在住のフードアナリスト。足を使って関西中の美味しい食べ物情報を探し出し配信します。お楽しみに!

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